無題
就活で東京へ。
空いた時間に前から大好きだった東京カテドラルに行ってきた。大好き、というか自分にとっては初めて衝撃を受けた建築で、なにか特別な思い入れを持ってきたところがある。
行ってみると相変わらずの外観で、日光を反射してぎらぎらしているのがかっこよくてちょっとテンションがあがった。なつかしさもある。
近くに寄って見ると以外とでこぼこしてる。
叩いてみると「がん」という安っぽい音がした。
あれ?
ただの鉄板だ。てかただの建築だ…。いや、当たり前だよな。でもなんであれって思うのか。俺はこれをなんだと思ってたんだろう。どんな音が返ってくると思ってたのか。
夢から醒めた気分で、がっかりしたわけではないけどなんか滑稽でふひひと笑ってしまった。
どんなに繊細できれいなかたちにつくっても素材が鉄なら鉄なのだ。工学部の変なブレースとかそこらにある緑色の歩道橋と同じ鉄。
とってもはかない。
あの東京カテドラルだって未曾有の地震にあえば瓦礫の山になってしまう。
丹下健三はモダニズムに神聖さをどうとか言われるけど、本当に神聖なものが壊れるわけがない。
伊勢神宮だって宮大工がみんな死ねば二度と建たない。
当たり前のことのはずだけど、やっぱり俺は今まであの大聖堂に神様がいると信じてた節がある。
でもあれは神様の衣ではなくてただの鉄とコンクリートだ。当たり前なんだけど。
今まで建築の力を盲目的に信じてきた。二年の時にここに来て以来だと思う。
まあ、でも実際こんなものだ。
建築にとって永久とか絶対などというものは存在しない。
まあ
だからなにというわけでもなく設計事務所の面接を受けるわけだけど。