エスキスの方法

また今年も学部生の設計演習が始まり、俺らはティーチングアシスタントとしてかり出される。


後輩たちが持って来た物を見てああだこうだ言う仕事だが、
まだ始まった辺りの今の段階では具体的な話にならず、エスキスのやり方について相談されたりする。


例えばゾーニングのし方。まず大雑把な配置とメインエントランスの位置案をいくつか出して、その一方で機能構成のスタディや床面積把握があって、それらを組み合わせてっていう・・・
そういう言わば通り一遍の教え方を俺もするわけだが、実際どうなんだろう。


確かにまっとうなエスキスの方法論は確立された物がある。
一級建築士試験の即日設計とかではまず有効だろう。
俺も教えろと言われたらまあこう教える。


でも自分達の設計演習とかこれまでのTAを思い出してみるとこれとは違うやり方で面白いものを作る人もいるな(いたな)と思ったりする。


Yという後輩は、解くべき課題も抱いている空間イメージも一切整理せず、断片的なスケッチを描き貯めてそれを一気に再構成して物を作ると言ってた。
これには目からウロコだった。
キュビズム的な手法。聞いた事が無かった。
彼は美術をやってるからそういうことができるんだろうが、それは勿論誰にでも真似できる物ではない。


教えるのって難しい。百者百様な可能性がある中で建築を教えるってどういうことなんだろう。
アシスタントの分際でですが。