友人Yとの雑談

バンドマンの友人との雑談から。


彼はドラマーで、北大の農学部で農業経済の勉強をしている。

喫煙所でだべっている中での会話をメモっておく。


最初の論点はどんなふうにして新しい音楽が生まれるか。
彼はバンド活動をする中で、聞いた事の無いような新しい形の音楽を模索している。

話は逆にどんなときに新しい音楽が生まれて来たかという所にいった。


UKスカのthe Specialsはイギリスでの人種差別に対する問題意識に立ちながら発足し音楽的な方向性を打ち出した。
音楽性もバンドメンバーの編成もファッションもCDのジャケットも白黒混合だ。
フォークソングベトナム戦争に対する反戦意識から。
レゲエもジャマイカの社会状況の悪化からきている。


こう見ると、新しい音楽が生まれるのはそのときどきの社会に対する闘争だったりとか
鬱屈した状況下での精神的な発露、その表現としてあるようだ。


じゃあ今の社会状況の中で何が考えられるか、といったことになってくる。
一番大きいのは人口増加から減少へのシフトということなんだろうが、
それより詳しくは書いてしまうと勉強不足からぼろが出そうなので割愛したい。


ただ自分は今は音楽よりも建築と都市計画の方の専門なのでそっちでいろいろと喋った。
共通するのは(当たり前だけど)何かが生まれる背景には必ずその時々の社会とか経済とか文化的な状況が横たわっていること。


一方共通しないのは、これは自分の主観だが
音楽は瞬発的で爆発力があり、よりストレートに表現的である。
建築はもっとゆっくりと変遷していて、感情や思想の表現性に加えて技術的なものが表現に直結する事。
加えて、大衆的か権威的かというところでも考えてみたがこのへんは何ともいえず。




ともかく思うのは、音楽論にしろ建築論にしろ、写真でも絵画でもなんでも、大きく見る事を前提にして
遡れば社会論とか経済論、環境論にいきついていく。
でも個々の素晴らしい音楽とか建築とかを微視的に見るとそこには作者の独自の価値観がかけ算されている。
(逆にその分野の内での価値観をひっくり返すようなヒーローも存在したりしておもしろい。)


無理に結論するとそうした背景や状況をしっかり認識した上で自分の見方を確立しなさいということか。
(あくまで新しいものをつくる、という前提にたった場合に。)
新聞ちゃんと読もう。

日本の論点 (2009) (文春ムック)

日本の論点 (2009) (文春ムック)